歯周病治療
歯周病について
歯周病は、歯と歯ぐきの周囲の組織が炎症を起こし、進行する慢性の疾患です。日本人の歯を失う原因の第一位としても知られています。歯周病は、プラーク(歯垢)と歯石の蓄積によって引き起こされます。プラークは口腔内の細菌が歯表面に付着して形成される膜状の物質(バイオフィルム)であり、歯ぐきの縁や歯と歯ぐきの間に蓄積します。歯周病の初期段階では、歯ぐきの腫れや出血が見られますが、痛みはほとんどありません。しかし、無視していたり適切なケアを怠ると、歯周病は気づかないうちに進行(サイレント・ディジーズ=静かなる病気)していきます。
進行すると、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの間の溝が深くなり、歯ぐきが後退し、歯を支える骨が退縮し、だんだん歯が動揺するようになります。歯周病は慢性的な疾患であり、放置すると歯を失う原因となります。また、歯周病には全身的な健康にも影響があり、心臓病や糖尿病などとの関連が指摘されています。
歯周病の進行度とその症状
歯周病の進行度は、病気がどれだけ進行しているかを示す指標です。進行した歯周病は、歯周組織や歯根の損失、さらには歯の喪失につながる可能性があります。そのため、早期の歯周病の発見と適切な治療が重要です。定期的な歯科検診と適切な口腔ケアを行うことで、歯周病の進行を抑えることができます。
1. 歯肉炎 (Gingivitis)
歯周病の初期段階であり、歯肉が腫れたり出血したりする状態です。歯磨きや歯間の清掃が不十分なため、細菌が歯肉に感染し炎症が起こります。歯肉が赤く腫れ上がり、歯磨き後に出血することがあります。
2. 軽度の歯周炎 (Mild Periodontitis)
歯周病が進行して歯肉と歯の間に歯周ポケットができる段階です。歯周ポケットの深さは3〜4mm程度であり、歯肉の炎症や腫れが継続しています。歯ぐきが痛むことや歯が少し動くことがあります。
3. 中等度の歯周炎 (Moderate Periodontitis)
歯周ポケットの深さが4〜6mm程度になり、歯周組織の破壊が進行しています。歯肉の炎症や腫れが悪化し、歯ぐきから膿が出ることがあります。歯がさらに動くことや食べ物が歯ぐきに挟まることも起こります。
4. 重度の歯周炎 (Severe Periodontitis)
歯周ポケットの深さが6mm以上になり、歯周組織の破壊が進行しています。歯肉の炎症や腫れが激しくなり、歯ぐきからの出血や膿が増えます。歯が大きく動き、噛み合わせや咬む力に制約が生じることもあります。
歯周病の検査
歯周病の検査は患者さまの歯周組織の状態を評価するために行われます。歯周病の検査は、病状の早期発見や進行度の評価に役立ちます。定期的な歯科検診を受けることで、早期の歯周病の発見と適切な治療が行われることが重要です。歯科医師との定期的なコミュニケーションを通じて、口腔健康の維持と歯周病の予防に取り組みましょう。
口腔検査
歯や歯肉、口腔内の異常を視覚的に確認します。歯肉の腫れや出血、色や形の変化などが見られるかどうかをチェックします。
歯周ポケット測定
歯周ポケットは歯と歯肉の境目に形成されるスペースであり、歯周病の進行度を評価するための重要な指標です。歯科医師は特殊な歯周ポケット探針を使用して、ポケットの深さを測定します。通常、健康な歯周組織のポケットの深さは1〜3mmですが、歯周病が進行するとポケットの深さが増加します。
歯周組織の評価
歯周病の進行度を評価するために、歯周組織の状態を詳しく調べます。歯肉の状態、歯石の有無、歯肉の出血の有無、歯肉退縮などを確認します。
レントゲン検査
歯科医師は、X線写真を撮影することで、歯周組織や歯の根の状態を評価します。これにより、歯周ポケットの深さや歯周病の進行に伴う骨の吸収などを確認することができます。
歯周病の治療
歯周病の治療は、進行度や患者さまの個別の状態に応じて異なるアプローチが選ばれます。歯科医師によってお一人おひとりに合わせた治療プランが立てられます。また、定期的な歯科検診と適切な口腔ケアの継続が、治療の成果を維持するために重要です。自身の口腔健康に対して積極的なケアを行い、歯周病の予防と治療に取り組みましょう。
口腔衛生の改善=ブラッシング指導(TBI)
歯周病の主な原因はプラーク(歯垢)と歯石です。定期的な歯科検診と歯磨きや歯間清掃の適切な実施によって、口腔衛生の改善を図ります。
スケーリング・ルートプレーニング
歯垢や歯石を専用の器具で除去するプロフェッショナルな清掃方法です。歯肉と歯の根面をきれいにし、炎症を抑えます。
抗生物質の使用
一部の歯周病治療では、抗生物質の処方が必要となる場合があります。抗生物質は歯周病を引き起こす細菌の増殖を抑える役割を果たします。
外科的治療
歯周病が進行している場合、外科的な治療が必要になることがあります。例えば、歯肉の切開手術や歯周組織再生療法などが行われることがあります。
レーザー治療
レーザーを使用した治療法もあります。レーザーによって歯周組織を処理し、細菌の除去や炎症の抑制を図ります。
メインテナンス
歯周病の治療後は、定期的なメインテナンスが重要です。メインテナンスの頻度は、個人の状態や治療後の経過によって異なりますが、一般的には3〜6ヶ月ごとの診察が推奨されています。定期的なメインテナンスにより、早期の歯周病の再発や進行を予防し、口腔健康を維持することができます。
メインテナンスの目的
メインテナンスの目的は、歯周病の再発や進行を予防し、口腔健康を維持することです。定期的なメインテナンスは、歯周組織の健康状態を監視し、早期に問題を発見・対処することで、歯を長期にわたり健康な状態で保つ役割を果たします。
メインテナンスの内容
メインテナンスの内容は個人によって異なりますが、一般的には以下のようなものとなります。
歯石除去
歯科医師や歯科衛生士によって、歯石やプラークなどを除去します。これにより、細菌の繁殖や歯周病の進行を防ぎます。
歯肉の評価
歯肉の状態や歯周ポケットの深さを測定し、歯周病の進行度を把握します。必要に応じて、適切な処置や治療が行われます。
口腔衛生指導
正しい歯磨きやフロスの使用法、口腔衛生の重要性についての指導が行われます。また、個々の状況に合わせた適切なオーラルケアのアドバイスも受けることができます。